◆平成28年度 三稜会入会式 会長挨拶

皆さんご卒業おめでとうございます。皆さんはこれから履歴書に「愛知県立津島高等学校卒業」と書くことが出来ます。西暦1900年(明治33年)4月に、愛知県第三中学校として設立され、「智・仁・勇」の校訓を三稜の精神とし、117年の歴史を有する伝統校です。7年前、創立110周年を記念し、名称を同窓会から三稜会に改名しました。
卒業生約4万名に及ぶ三稜会への仲間入りは、皆さんの誇りとなるに違いありません。私は同窓生を代表して、皆さんのご卒業を心から祝福し、三稜会への入会を歓迎いたします。新入会員数は全日制・第69回生350名、定時制・第66回生21名の合計371名です。

皆さんは、パキスタンのマララさんのことを知っていますか。3年前、当時17歳の少女・マララさんの活動がノーベル平和賞に輝きました。それは、世界中の子供たちが質の高い教育を平等に受けられることを強く願っての活動です。私は、彼女のノーベル賞受賞記念講演の全文を読んだ時、そのレベルの高さに驚きました。彼女は次のように言いました。
「今回の賞は私だけのものではありません。教育を望みながら忘れ去られたままの子どもたち、平和を望みながら脅かされている子どもたち、変化を求めながら声を上げられない子どもたちへの賞なのです」と。そして最後に、「そういう時代を、私たちで終わりにしましょう」と訴えると、場内が感動の渦に包まれたそうです。「教育のために立ち上がり、世界を変えた少女」と讃えられています。

平和で豊かな国と言われている日本ですが、最近、経済的理由から学業を続けることが、困難になりつつある児童や生徒が大変増えているというニュースが頻繁に報道されるようになってきました。昨日の朝日新聞に「子供の貧困どうする?」と題する特集記事が掲載され、「この問題を解決する責任は親と社会のどちらに?」と問うています。多かった意見は、「どちらかと言えば社会の責任、または親と社会で半々と答えた人たちの声」が紹介されています。
私が感銘を受けた50歳代のお母さんのご意見を紹介します。「私は、子供に残せるものは教育と思っています。幸い十分とは言えないまでも年収を得、子供には不自由なく教育の場を与えられています。それは、私の両親が私にしてくれた教育と思っています。」

皆さんは家族の愛に包まれて、明日卒業式を迎えることが出来ます。今日帰ったら家族の皆さんに、ありがとうございましたとお礼を言わせていただきましょう。そして、その感謝をこれからの人生の中に表していきましょう。身体は家庭や職場にあっても、心は回りのことを思い、眼を世界に向け、高等教育を受けた者としてふさわしい使命を果すため、マララさんのように立ち上がり、行動していただきたいと思います。

三稜会では、創立110周年を記念して懸賞論文制度を設立しました。
皆さんに、考えて書く力を高めていただきたいとの願いからです。皆さんが1年生の秋に挑戦した第5回懸賞論文のテーマは「時間」でした。8校から614名が応募し、選ばれた入賞者8名の内の1名が皆さんの中におられます。優秀賞に輝いた岡田蒔絵さんは、作品の終り部分で次のように書きました。

「私たちがこの日々を平和に、そして切磋琢磨して過ごせることは幸せなことなのだ。この恵まれた世の中の下で人生を歩むことが出来ること、自分の望んだ夢をかなえるチャンスがあることに感謝したい。そうすることで、より良い未来へと続く道が切り開けるのではないだろうか」と。これだけでも素晴らしいのですが更にすぐれた点は、この後にテーマである「時間」の持つ重みを次のように指摘している点です。頑張りの日々のなかで、「時には余裕を持つことで、自分に訪れる変化と触れ合い、時間の流れを肌で感じることで人生の価値を推しはかることも大切だと思う。」と。これは、大変奥深い表現で、大切な指摘だと思います。
このように、毎回寄せられるたくさんの力作が、第4回から「稲葉真弓賞」へと発展する原動力となり、参加校も作品数も着実に発展し、母校の新しい伝統として輝き始めました。これは、同窓生と在校生が共同して生み出した津島高校の宝物です。第7回の今回の参加校は過去最高の10校となり、継続参加校が増えてきました。今後、西尾張地域の新しい伝統となるべく、さらに努力してまいります。

三稜会の総会は、毎年9月の最終日曜日に津島市文化会館で開く予定です。ぜひ総会に出席して、先輩・後輩との友情を温めてください。30年後には、総会を取りまとめる幹事学年の大役をお願いします。50年後には、皆さんの輝く人生に敬意を表し、総会の席で表彰が行われます。30年・50年後、すなわち学校創立147周年・167周年の総会の主役は皆さんです。その主役を果たす過程で、この3年間に築かれた友情が、その後の人生の頑張りのもとになったという実感が、心の底からの喜びとなって沸き上がってくることでしょう。まさに、先ほどの岡田さんの結びの言葉どおり「時間の流れを肌で感じることで、人生の価値を推しはかる」機会となることでしょう。一年生の時に「時間」について考えたことが、これからの人生にきっと生きてくることと思います。

三稜会の活動の様子は、ホームページに掲載します。「津島高校三稜会」で閲覧できますので、時々のぞいて見てください。先ほどの岡田さんの作品をはじめ、過去の入賞作品も読み返すことが出来ます。皆さんの学年独自のページを作り、互いの絆を強める交流の場とされるのもよいでしょう。代表幹事さん、全同級生の代表として、末永く三稜会活動へのご協力をよろしくお願い致します。
皆さんの今後のご活躍を期待し、歓迎の挨拶と致します。また総会の場でお会いしましょう。

平成29年2月28日 三稜会会長 横井 義一

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