◆平成29年度 三稜会総会 会長挨拶

平成29年9月24日 三稜会・会長 横井 義一

皆様おはようございます。
本日は三稜会総会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。卒業後20~30年ぶりに校門をくぐられた方も多いのではないでしょうか。

今日は、若き青春時代に戻っていただいて、旧友との絆を確かめあい、さらに深める機会にしていただければ嬉しく思います。

 卒業後50年を迎えられました20回生の皆様。皆様は、母校での学びが後につぼみをつけ大輪の花を咲かせ、豊かな実りをもたらした幸せな人生を送っておられるのではないでしょうか。その皆様のご努力に敬意を表し、午後の懇親会において表彰させていただきます。おめでとうございます。

 総会の準備に頑張っていただきました幹事学年・40回生の皆様!卒業後30年を経過しても揺るがない結束力が今日の成果となりました。大変ご苦労様でございました。ありがとうございます。

こうした、在学時代への感謝の気持ちが、同窓会活動への活力を生み出していると思います。新時代を支える優秀な人材を育成出来るよう、母校への支援を続けて参りたいと思います。

創立110周年の2年後より今日までの5年間、皆様に支えていただいて、微力ながら会長として120周年への中継ぎ役を務めさせていただくことが出来ました。ありがとうございました。

私が会長を引き受けるに当り、前会長より“三稜会懸賞論文を母校の新しい伝統に育ててほしい“と要望されました。この課題のその後の経過をお話しさせていただきます。

正直なところ、どうしたらよいものかと思案にくれました。
私を勇気づけてくれたのが第2回、第3回の最優秀作品を始めとする多くの素晴らしい作品でした。審査の為に目を通していると、生徒の作品を通してその家族の様子が透けて見えてくるような気がしたのです。逆に、親として学ばなければならないものが沢山あると思えました。そこで考え付いたのが、優秀作品を一人でも多くの人に読んでいただけるようにと、同窓会報を別冊化し、幅広く配布できるようにしました。クローバーTVにお願いし、入賞作品の本人による朗読を、家族の集まるお盆休みに放映していただき、後にラジオのFM77.3でも放送していただいています。とりわけ第3回の最優秀作、清林館高校の布田さんの作品は、その素晴らしさから中日新聞の社会面に囲み記事が掲載され、この記事やクローバーTVを見た人からの反響は大変大きなものでした。

 更に、稲葉真弓さんの名前を頂いて、三稜会懸賞論文・稲葉真弓賞とさせていただいたことにより、賞の知名度が向上したと思います。懸賞論文の募集対象は西尾張地区の公・私立の14校ですが、13校に過去の参加実績があり、昨年・第7回の参加校は10校あり、そのうち8校が3年連続参加です。地域での認知度が大きく高まってきた証と思い、歓びに堪えません。クローバーTVや中日新聞による懸賞論文の募集状況や審査状況などのタイムリーな報道も、大きく貢献していると思います。

3年前、9月1日の朝刊を見た時のショックは今でも忘れられません。“稲葉真弓さん 30日に逝去”の記事です。総会を9月末に控え、てんやわんやとなりました。

稲葉さんは、母校に懸賞論文が生まれ、審査委員長として直接携わることが出来ることを非常に喜んでおられ、記念の講演会もしてくださいました。ご期待に添えるようにしなければとの思いで必死に準備し、追悼の心を込めた表彰式をとり行うことが出来ました。

稲葉さんご本人のご意志とご遺族のご協力により、貴重な遺品を寄贈して頂くことができ、「稲葉真弓さん 文学の軌跡」と命名した展示コーナーを、翌年の総会日に、興学館内に開設することが出来ました。お母様やご兄弟、パートナーの方たちのご列席をいただき、大変喜んでくださいました。

稲葉真弓さんの知名度は高く、さっそく昨年秋には名古屋の「文化のみち 二葉館」にて長期の展示会が実現しました。学芸員さんのご努力により非常に高いレベルの展示となり、大変好評を博しました。今の展示は、その時の再現となっております。

嬉しいことに、この10月29日に常設展示場が、愛西市中央図書館に開設されることになりました。全面的に協力させていただきます。こちらへもぜひ、足をお運びください。

ご遺品の目玉はたくさんありますが、特に注目すべきは30冊に及ぶ大学ノートです。高校入学と同時に書き始められ、高校3年間に書かれたものは6冊あります。この中に書かれた作品群が、後の大作家・稲葉真弓さんを生み出す源になっているかと思います。此の中身にこそ遺品の値打ちがあると思いますが、残念ながら、そのほとんどが人の目に触れていません。ノートの中身を公開すべきであると思い、まず1年生の時に書かれたものから選んで、今年の会報・別冊に特集いたしました。

来年は2年生時の作品から、再来年は3年生時の作品からをと考えています。そして2020年は創立120周年にあたり、稲葉真弓賞も10周年になりますので、高校3年間の総集編となる作品集を発刊できればと夢見ています。まだ構想段階でありますが、津島高校が生んだ大作家の業績を通して、母校の新しい伝統として、地域や社会の人々に貢献できる三稜会の事業に発展出来ればと願っています。

旧講堂の裏に新築して寄贈された興学館は、言うまでもなく在校生の日頃の学習に大変重宝されております。

110周年記念事業で生まれた興学館と稲葉真弓賞は、津島高校の新しい歴史を築き始めたといえるでしょう。あたかも、大正時代に建設された正門と旧講堂が、国の登録有形文化財として登録されようとしているのと対称をなすかのようです。

 この制度を支えていただいている協賛会社様と後援の中日新聞社様には厚く御礼申し上げます。

本日をもって、新会長さんに交代させていただいて、120周年に向けての新体制が発足いたします。安心してお任せ出来る若くて優秀な方ですので、後程、ご承認をお願い申し上げます。

最後に、追加させていただきたいことがございます。
冒頭で、午後の懇親会における表彰について触れました。
稲葉真弓さん! あなたがお元気であられたなら、20回生代表として表彰状をお渡しできたであろうと思うと残念でなりません。三稜会懸賞論文を導いて下さっているからこそ、ここまでの発展が許されたと思います。本当に、ありがとうございます。

稲葉さんが3年生の時に書かれた「アンネに贈る詩」の感想文が全国第2位に輝き、校庭で表彰状が渡される様子を見た同級生の一人は、「文学少女がいるな!」との強い印象を受けられました。

その人はのちに、熱烈な稲葉真弓ファンとなられました。
5年ほど前より、賞の審査や運営に積極的に協力してくださるようになり、長年にわたる稲葉作品の研究成果を大いに発揮していただいており、大変うれしく思います。

数日前、表彰状を受け取られる20回生の代表が、その人・鵜飼保さんであると知った時、これは、「稲葉真弓賞を頼むわね!」との稲葉さんからのシグナルに違いない!と思えました。
それならば、これからの指揮を執っていただく新会長から授与していただくのがふさわしいと思いますので、ご理解をお願いいたします。

同級生から大作家・稲葉真弓さんを輩出したことは20回生の皆さんの喜びであり、誇りです。皆様にはとりわけ親しく、末永い稲葉真弓賞へのご支援をお願い申し上げます。

稲葉真弓賞が、津島高等学校の伝統に、更なる厚みと輝きを加えられるよう発展することを念願しつつ、退任のご挨拶とさせていただきます。5年間、本当にありがとうございました。

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